華国で3月に開かれた全人代(全国人民代表大会、NPC)で、華国政府は欧州との融和路線を強調した。これについて香港大学の政治学者、チャン氏は「太子党閥の王体制に、上海閥が駆け引きを挑んだ結果だ」とするレポートを公開した。
チャン氏はまず、王体制について「彼らは中華思想の体現者であり、南シナ海や人権問題で対立するフランスなどの欧米勢力に三顧の礼を求め続けていた」と指摘。あくまでも現体制は欧州に対し覇権的な地位を築くことを念頭に、「全人代の前までは」強気な姿勢を維持し続けていく方針だったとした。
しかしチャン氏は「2月に大きな政治的駆け引きがあった」と指摘する。
2月、浙江省の省都鄭州市の党委書記を務めていた薛甚義氏が「重大な規律違反を犯し、家族らと共謀して賄賂を受け取った」として党規律監査委員会により処分された。薛氏は王氏からの信頼も厚く、幹部入りも期待されていた。
チャン氏はこれについて「李首相をはじめとする上海閥系が規律監査委に通報し、監査委がそれを受けたという事実に王指導部は驚いたはずだ。彼らは監査委を掌握していると思っていただけに、この事態を予測していなかった」とした。
また3月になると、人民日報に「王総書記による経済深化活動」と題する評論が掲載されたが、これについてもチャン氏は「上海閥による王体制への皮肉だ」とした。
「江沢民以降、上海閥による統治は清華の経済を飛躍的に発展させたが、王体制はその成長率を実現できていない。にも関わらずこのような評論を書くのは体制に対する皮肉に他ならない。」
チャン氏はこれら二つの出来事から「3期目を目指す王体制にとって、彼らの不満は大きな不安材料だ。対欧融和政策は彼らの要求を呑む、ある種のガス抜き立ったのではないか」とし、また「これにより国内の投資家の印象はかなり和らいだ。結果的に上海閥のアシストにより、国内の支持をさらに固めたようなものだ」と結論つけた。
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