【2022年1月16日 LFP】フランスのルイ・ド・プレオベール首相(Louis de PREAUBERT)は、近年台頭が著しい「ビッグテック」複数社に対し、懲罰的な課税を検討していることを明らかにした。皇帝の退位が目前となり、解散ムードが高まる中、選挙を見据えた施策のひとつとみられている。
1月14日、首相は、パリの保守系新聞レコー・ド・パリに私論を掲載。米国発の支配的な国際IT企業(所謂ビッグテック)に対し、厳しい制裁措置を検討していることを明らかにした。
「いくつかの米国企業は、ヨーロッパ市場に暴力的な寡占状態をもたらしている。近年のフランス市場における、彼らの不条理きわまるビジネスが莫大な利益を上げていることは明かなのにもかかわらず、その富は専ら米国や租税回避地に吸い上げられ、フランスへの納税はわずかだ。」
と指摘。そのうえで、
「ビッグテックがフランス経済の健全な競争と自立を著しく損なっていることは明白だ。公正な経済を維持し、消費者の権利を擁護する上でも、彼らの横暴…とくに税金逃れは、決して見過ごすわけにはいかない。」
とし、懲罰的な課税を示唆した。
15日にはリシャール経済連帯相も同様の見解を示し、今年中に必要な立法を行い、「是正」する必要があると表明した。与党のなかではECでの立法を優先し全欧的な制裁をすべきとの意見もあるなか、同相は欧州単位での規制には時間がかかると予測。速やかな措置を講じる必要性から、フランス独自での課税が妥当としている。
一部の調査によれば、ビッグテックによる「税金逃れ」がフランスの財政に数十億フランもの損失を与えているとされる一方、単独での懲罰課税は米国との外交摩擦に至るリスクが大きく、市場関係者からは不安の声が多く上がっている。
Comments