【2021年 5月3日 LJO】プレオベール首相はきょう、イスラエルから訪仏中のネタニヤフ首相とエリゼ宮殿での首脳会談に臨んだ。
両首脳は会談後共同記者会見を行い、安全保障面では「地中海における平和維持で歩調を合わせる」ことで一致、経済面では「脱炭素へ向けた技術協力の推進」、「フランスからイスラエルへの原発輸出の検討」や、「欧州経済圏への参加にむけた協議推進」で両国は合意したと明らかにした。
プレオベール首相は会見で、
「会談を通じて、両国の関係は素晴らしい前進をみた。この合意はイスラエルとフランス、イスラエルとヨーロッパの関係に大きな進歩をもたらすきっかけになるだろう。」
と今回の会談を振り返った。
多くのフランスメディアは前日のネタニヤフ首相の演説内容から、外交面でのトピックが大半を占めると推測していたが、実際の合意内容は経済分野が主題だった。
イスラエルへの原発輸出や、エネルギーの安定供給に役立つ脱炭素化の推進といった、エネルギー政策における協力は、エネルギーの自立が課題であるイスラエルと、脱炭素化を推進し原子力産業を世界的にリードするフランスの双方にとって魅力的な合意となり、
イスラエルの欧州自由経済圏への参画も、実現すれば地中海経済にとって良い刺激になることが予想され、期待が高まっている。
イスラエルとフランスは歴史的に、主にレバノンやシリアをめぐって複雑な関係を続けてきた。しかし、最近になって華国という新たな脅威が鮮明となり、地中海情勢の緊迫化という課題が両国にとって共通の懸案事項としてのしかかっていた。
イスラエルは華国との深刻な「経済戦争」に直面し、フランスではタカ派を中心に対華強硬をとるイスラエルを支援すべきとの意見が広がりをみせ、そうした状況が双方を近づける要因になったと言える。
国際政治の専門家エミール・ルエ氏は、「イスラエルとフランスの連携強化は、地中海や中東における利害関係に大きな地殻変動を呼び覚ます存在となるだろう」と今回の会談を分析した。
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