【2020年 12月 3日 LJO】10月中旬、ルーブル美術館に現れた、あまりにも奇妙な謎の男が警備員に保護され、パリ警視庁に引き渡された。ジョゼフ・ラガルドと名乗るその男は、閉館まもない時間帯に、リシューリュー翼で警備員に意識を失っているところを発見された。
当時男を保護した警備員は、ラガルドがあまりにも不審な言動を繰り返したことから、誰何の一部始終を動画に撮影しSNSに投稿、大きな反響を呼んだ。
警備員が男の異変に気付いたのは、ルーブル美術館の隣に位置するチュイルリー宮殿を男が眺めていた際に、大きく動揺し、吐き気のような症状をみせていたことからだった。警備員曰く、男は開口一番、大声で「あの建物は何だ」と語っていたという。
他にも「『シーヌ』という国(恐らくは清華の雅称?)から発祥したとされる『コーヴィッド』という未知のウイルスがパンデミックを起こし、世界は大混乱に陥っている」「今のアメリカの大統領は『ドナルド・トランプ』だろう」などと、奇妙な発言を繰り返したという。もちろん、これらの発言はいずれも事実とは大きく異なる。
さらに注目すべきなのは、男が所持していたという、「存在しない国」のパスポートや硬貨だ。男は19世紀に消滅したはずの「ベルギー王国」、そして「欧州連邦」の名が刻まれたパスポートを所持していた。
硬貨の方には「1ユーロ」という刻印があり、スウェーデンのノルウェー地方や、インテルマリウムの一部が欠けたヨーロッパの地図が彫られている。現在に至るまで、ユーロという通貨単位を採用した国は存在しない。しかしながら、いずれも非常に精巧な作りで、とても個人に作れるような代物ではない。
警備員の投稿によれば、男はほかにも「パリ旅行が毎年の楽しみで、ルーヴル美術館も毎年通っているが、今年はパンデミックで閉館が続き、なかなか来ることができなかった。」「窓の外にあるのはチュイルリー宮殿か、いつの間に再建したんだ、とっくの昔に焼失しただろう?」と語ったという。
「もしかすれば、この男が異世界の住人なのではないか?」──このミステリアスな情報に直面したネットユーザーは、誰もがその疑問を抱いたのではなかろうか。
その後、男はパリ警視庁によって保護された。昨月30日、警視庁のモーパ長官は会見を行い、事件の顛末について語った。長官は
「内務省より戸籍を確認した所、ジョゼフ・ラガルドという人物は我が国の戸籍上に存在し、ごく普通に暮らしている一般男性であることが分かった。家族の話によれば、ラガルドは当時パリにいなかったし、警備員に保護された時間帯は、職場で夜勤をしていたことまで分かっている。つまり、人違いということだ。」
と語り、保護された男はラガルドという人物ではないとした。しかし長官は、一番重要な部分であるルーヴル美術館で保護された「『ジョゼフ・ラガルド』を名乗る人物」の正体については不明であるとして明かさず、会見を終えてしまった。つまり、今もなお謎の男の正体はつかめないままでいるのだ。
我々La justiceはこの事件の真相を探るべく、今もなお当事者からの直接取材を試みているが、男の情報をアップロードした警備員は昨月付けで退職し、アカウントも削除しているため、真相究明が困難となっている。 (本件について有益な情報をお持ちの方は、La Justice編集部までご一報ください。)
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