【2021年 6月1日 LJO】ムランマーでの軍事クーデターから3か月が経過しつつある。最大都市であるラングーンを中心に軍の強権に対する抗議活動が拡大し続ける中、東南アジアの一角に位置するフランスの「海外領邦」コーチシナで今、ムランマーの民主化運動に同調する動きが加速している。
コーチシナは「フランスによる植民地政策の名残」として語られることも多いが、1960年代以降、本国と同等の地位として高度な民主制を確立して以来、人権と民主主義の擁護を最重要視する世論が根強い。3月のクーデター以降、急速に情勢が悪化しているムランマーに対しても、コーチシナの市民の多くが問題意識を抱き、軍政打倒を訴える抗議活動に対し共感する風潮が全体的に強まっている。
そうした世論の急先鋒となっているのが、コーチシナのジルベール・ユアン首相(Gilbert Huynh)だ。同氏は31日、声明を発表。
「自由を求めるムランマー市民の叫びはわれわれに届いている。われわれコーチシナの市民すべてが、軍の圧政に抗い、声を上げ続ける皆さんに寄り添っている。」
と語り、近日中に民主派の亡命者の受け入れ体制を整える方針を明らかにした。
コーチシナで皇帝の代理を務めるオディロン・ペルティエ総督もコーチシナの世論に同調するかたちで、対ムランマーで消極的態度をとり続けるフランス本国政府に対し「当事者意識を持つべき」と非難した。
コーチシナの立法院では、超党派がムランマー軍政府による一連の人権侵害行為に対し非難決議を行うとともに、本国元老院に対し強力な対ムランマー制裁を行うべく、法案の審議が今日から始まっている。
プレオベール首相はこうした動きを受けてか、メディアに対し「コーチシナの人々が感じている怒りは、全フランス人が共有している。フランス政府としても具体的な行動を検討する。」と語り、ムランマー情勢へのさらなる関与を示唆した。
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