【2021年 3月12日 LJO】フランスが仏領ポリネシア(Polynésie française)で1960年代半ばから90年代半ばにかけて行われた一連の核実験で生じた被害について、実験を行ったフランス戦争省(現軍事省)が公開した資料を元に調査した結果、「ポリネシアの全人口が被曝していたのにも関わらず、フランス政府はその事実を隠ぺいしていた」とする報告書が11日、とある調査報道機関により公開された。
報告書は、その最も悪い例として1974年に行われた水爆実験「アレス」を挙げ、
「この核実験で生じた有毒な雲をモデル化し被曝量を再解析した結果、実際には政府の発表を大きく上回る、仏領ポリネシアの全人口にあたる11万人もの住民が被曝していた」と結論付けたうえで、仏軍事省、原子力庁はそれらの事実を50年以上にわたり明らかにせず、補償もほとんど行わなかったと指摘した。
この報道について、プレオベール首相は速やかに声明を発表、
「政府は速やか事実を明らかにし、必要に応じて補償などの措置を行う。」
と約束した一方、
「問題の本質はポリネシアのフランス国民に対する補償が実態に伴っていなかったのではないか
ということだ。遺憾だが、不正確な調査によって政府の把握しない健康被害が生じていたのであればそれは問題だし、速やかに誠実な対応を行っていくだろう。ただ、『計算』や『推測』を根拠に『政府が故意に隠蔽した』と断定していることについては、客観性に欠いているし、短絡的だと思う。きわめて無礼と言わざるを得ない。」
として、報告書の信ぴょう性には疑義を呈し、政府の名誉を擁護する発言も行った。
フランス原子力庁は首相の対応を受け、被曝量などについて第三者による正確な調査を行い、実験によって生じた健康被害を精査し、速やかに補償を行う方針を示している。
Comments