【2022年 4月12日 LFP】フランス立法院選挙は現地時間あす13日、二回目の投票を控えている。第一回目の投票では、現第一党「人民への訴え」が得票率で他党を大きく引き離し、議席は過半数に届く見通しだ。
二回目投票では、同時に三つの国民投票が予定されている。与党としては、抱き合わせで投票を行うことで無党派からの投票率を上げ、得票を増やす戦略だが、今回の投票はフランスの将来や外交や倫理にかかわる重要なものばかりで、情勢を左右する要素となっている。本記事ではそれらについて紹介する。
新皇帝即位に関する国民投票
フランスの現皇帝ナポレオン7世は昨年、膀胱がんが発覚し職務の継続が危ぶまれる事態となった。高齢の皇帝はこうした事態をうけて、同年夏にジョゼフ=ナポレオン皇太子への譲位の意向を示した。今回の投票はその信を問うものとなる。
フランス皇帝は民意に立脚する君主というアイデンティティがある。現行憲法上は投票の必要がないのにもかかわらず、今回ジョゼフ=ナポレオン皇太子の意向により投票が実施されることとなった。世論調査会社のOFPSによれば、帝政への支持率は60%台から70%台の間を推移しており、この投票が否決される可能性は低いものとみられる。
人工妊娠中絶法の信任に関する国民投票
この投票の指す「人工妊娠中絶法」とは、2019年にフランスを揺るがした「モンタニー法」に当たる。同法は妊娠15週以内の中絶を理由を問わず合法化するもので、この法案をめぐる党派対立は2019年の政界再編を起こし、フィリップ・ヴェイユ政権が退陣に追い込まれる一つの要因となった。カトリックの多いフランスでは胎児の生存権を認める考えも多く、女性の権利と胎児の権利という倫理観の対立が浮き彫りとなっている。現与党の「人民への訴え」は同法案について国民的合意が形成されていないとして再審議を訴えている。
一帯一路条約への批准を問う国民投票
2020年夏、フランスは華国と合意文を結び、一帯一路条約へ参加する手続きに入ることを表明した。しかし、フランス政府内ではエジプトに強硬的な外交姿勢を取った華国に反発する意見も多く、「華国の軍事圧力に直面し続ける海外領土のコーチシナや、同盟国の東洋に対し、誤ったシグナルを送ることになる」と懸念した首相・外相は署名を拒否し、議会での批准決議も先送りにされてきた。
三つの国民投票のうち、人工妊娠中絶の問題と一帯一路批准問題はおおむね国論を二分しており、投票箱が開かれるまで結果の予測は難しい。OFPSによれば、両方の議題とも、僅差で可決される可能性が高いとしている。
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