【2022年2月15日 LFP】与党フランス社会党を指導するガストン・クルーゾー第一書記は、フランス12(テレビ局)の討論番組に出演し、左派勢力の間で広がる分断について嘆いた。
フランス社会党は昨年夏からプレオベール首相が所属する右派政党「人民への訴え」と連立を組み、肝いりの選挙制度改革やインフラ投資について参画してきた。
社会党が与党入りに転向した理由について、クルーゾー氏はこのように語る。
「我々とAPは、教条こそ大きな違いがあるが、政策の方向性は似通っている。
かつて私たちの党が分断に直面した際に、向こう見ずな対立の政治はやめよう、大人たちの大喧嘩を見せられるのはうんざりだと支持者の皆が思った。だから私がこの立場にいるという結果が残っている。
2019年以来、まるで災害のような小党分立により政治が停滞し続けている状況にあって、いまだに些細な対立を政治に持ち込むことは、政党に込められた本来の意味を見失った愚かしい行為だ。
私のやり方は、政策の前進によって、我々に投じられた票に確実な意味を持たせることだ。そのために、連立という選択肢を選んだ。」
また、クルーゾー氏は一部の左派政党の動きについてこのように批判し、社会党として彼らとの異なる立場を示した。
「政治はエンターテイメントではない。一部の左派政党は、特定のフランス人を悪魔のように語り、憎悪を煽ることで攻撃欲求を満たすだけの踊り子にすぎない。社会党は彼らのような、反エリート・反エスタブリッシュメントに傾倒した政党ではなくて、純粋に『労働者や弱者を守る』という目的意識によって成り立つ政党である。その目的を達成するにあたっては、より多くの政策を、手段を選ばず実現させていくという貪欲さが何よりも必要なのだ。」
社会党は2019年以来、急進的な勢力の大量離脱により党勢を大きくしぼませ続けている。昨年の地方戦で結党以来最悪の大敗を喫して以降、キリスト教社会主義者を自認するガストン・クルーゾー議員の体制に移り、社会民主主義の流れをくむ穏健派政党へと転向をめざしている。
フランスの政界ではもっぱら保守分裂ばかりが取りざたされるが、急進的な「民主社会主義者」ロール・コルベル氏の新党「レジスタンス党」や、既成政党である共産党、急進社会党というように、左派勢力もいまだに分立状態が続いており、
こうした状況下で社会党は中道保守との連立という道を選ぶことになったが、果たしてその決断は実を結ぶのだろうか?…社会党の試練は続く。
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